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私達はあるがままに生きていきたい。ただそれだけです。



初めて閲覧下さる方は、カテゴリーの『初めての方へ最初の挨拶』からご覧ください。

楽譜・音源制作活動

初めまして。

生きてます。

とりあえず。

 

結馬(ゆうま)です。ここもう半月に近いかな?僕が大半の割合で表で日常代行しております。実質もう主人格だねなどと中では言われております。まぁ先がどうなるかはわかりませんが・・・。

 

ところで優さんがホームページを作りました。僕達の行っている活動をほぼひとまとめにしたのです。

よろしかったら遊びに来て下さい。

harlequins ・・・僕達の活動内容のホームページとして

geheimeburg ・・・僕達(内部含めて)自身の紹介のホームページです。上の活動内容のホームページ(Harlequins)からもリンクされています。

 

 

 

さて、

僕達の活動の一環の中のひとつとして、在宅請負の仕事で楽曲の採譜(音源を耳で聴いて楽譜に起こす作業)、楽譜制作、そしてそれを今度は実際楽譜作成ソフトで機械音源にする音源制作ということをやっております。

主なところでは、合唱やクラシック以外(まぁクラシックでもいいわけですが←基本的にそれはクラシックを教える先生がなさらないことだと思うが)の歌のレッスンなどで、伴奏音源が欲しいとか、練習用に一部だけもしくは全パートが入ったり伴奏だけだったりする音源が欲しい・・・という場合や、趣味でカラオケ音源が欲しいという場合もあります。また、自分で楽器をソフトに打ち込んでオーケストラ音源を作りたいのだけど自分では採譜(耳コピ)はできないから楽譜の方が欲しい、という方もいらっしゃいます。

もちろん楽譜だけ作ることもしていますので(そもそも音源制作の為に作る楽譜は音として反映させることを目的とするために、普通に楽譜を作るのとは全く別の作業になってきます)、楽譜が売られていない曲や売られているのだけど調を変えたいという場合などに歌&コード譜、歌&ピアノの3段譜、楽器のパート譜、オーケストラスコアなどの制作も請負っています。

今のところ歌&コード譜制作の依頼が多いですし、音源制作も今のところミュージカルが多いです。

というのもやはりミュージカルファンの人は趣味としてカラオケ音源が欲しかったり、あとはミュージカルのヴォーカルレッスンではカラオケ音源を使うことが多いようですので。

 

そして僕たちはその一部や、僕達自身が趣味として採譜音源化したものを最近Youtubeに細々とでありますが宣伝を始めてみました!

 

前置きが長くなりましたが、ところで、ブロードウェイ発祥フランク・ワイルドホーン作曲のミュージカル「ジキル&ハイド」(東宝ホリプロ共同)が明日よりまた日本で再演されます。

ワイルドホーン作品はとても好きで楽曲分析などとても楽しく研究していたのですが、今回ジキル&ハイド再演が近くなるのに伴い需要もアップするシーズンということで、少々立て続けにジキル&ハイド楽曲のオーケストラ採譜に取り組んでみました。

 

もちろんまだまだ挙げていく予定でいるのですが、再演初日前日ということで、一旦この場にても宣伝させていただこうかなと思った次第です。

 

残念ながら僕たちはこれを仕事としてもやっておりますし(だから勝手にダウンロードされてしまうと立ち行かなくなってしまう)、どの道伴奏だけをアップしてしまっては曲を知らない方には何だかわからないことになってしまうため、仮歌を入れてあります。

もう音源制作がメインであり男声曲女声曲バラバラだしということで、ほぼ全ての楽曲において練習時間&発声時間すらとらずに一発本番録りしているというところはご了承下さい。

 

勿論美しい楽曲、素晴らしい音楽はそれはそれとして本当に多くの人に広めたいという趣旨も持っておりますので、歌えればそれに越したことはないのですが・・・しかしいかんせんこの声帯を使うしかないということもありますし、人気曲はそうでなくとも超絶レベルが高いですし、申し訳程度に練習をするにも練習時間や実技面で納得いかないものを録り直して・・・などしている時間をとっていると音源制作や他での活動が生活上回りません。しかも僕達は元々がなまじ音大出身、クラシックの声楽科出であることもあり、練習を始めたり聴きなおして録り直せる環境を作ってしまうと絶対にいつまでたっても納得できず絶対にひとつも動画アップに漕ぎ着けられなくなるという事態に陥ります。

 

ですので・・・どうかどうかそこはご了承いただきたく、頑張ってオケ伴奏音源の方に耳を澄ませていただけたら幸いでございます。

そして仮歌が邪魔だ!!と思われたなら、ぜひともビジネスとしてご依頼下さいませ。急ぎ仕事で作っている動画などよりもっと更に完成度を上げた、そして皆様のご要望を反映させた伴奏音源をお届けいたします!

 

と、いうわけで、本日は特にその中でも、明日から再演のミュージカル「ジキル&ハイド」楽曲を特集して載せてみたいと思います。

 

ご興味ある方は、ぜひ。

 

第一幕中盤から

「時が来た(This is the moment)」

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2016年日本語版を元にオーケストラ採譜(編曲)したもの。

この曲はその歌詞(英語原詞)から、アルベールビル冬季オリンピックの公式テーマソングともなったという、人生の応援歌ともとれる曲。

舞台ではジキルはこの曲を歌って自分を実験台に"人間の善と悪を分離する薬"を飲み(ブロードウェイ版では皮下注射し)、思わぬ結果としてハイドに乗っ取られていってしまうわけですけれども・・・

 

・・・ところで軽くあらすじを説明しておきましょうか。原作と大分違うので。

舞台設定は19世紀イギリス、ミュージカル版のジキルはまだ若い医師(博士には違いないわけですが)で、自分の勤務する病院の理事長の娘エマと婚約を控えています。

ジキルは、年老い耄碌して精神をコントロールできなくなった自分の父親を救いたいがために、"人間の善と悪とを分離する薬"を研究していました。科学が急激に進歩を始める直前の時代のキリスト教社会ということもあり、精神をコントロールできなくなって暴れたりするのは悪魔の仕業だとか、そういう考え方もあったのでしょうか。

しかし、これまたキリスト教社会、ジキルの研究は婚約者の父(病院理事長)にも、イギリスの上流階級のお偉方が集まった病院の理事会のメンバーにも、"神を冒涜する危険な理論だ"と猛反発をされ、ジキルはこの薬の人体実験の許可を求めたのですが、話もろくに聞いてもらえず一方的に却下されてしまいます。

絶望するジキルを、弁護士であり親友のアターソンは、自分の行きつけの(笑)下層階級の酒場へと無理やり彼を気分転換に連れ出します。

そこでジキルが出会ったのが、社会の底辺で踏みつけられながらも強気に生きる娼婦のルーシーでした。

初めての雰囲気にびくつくばかりの生真面目のジキルにルーシーは、これまたこんな場所にて欲望を一切表に出さない男であるジキルに興味を持ち、話しかけます。

この会話の中で、全く違う意図で何気なく発したルーシーのある言葉に、自分の研究のことしか頭にないジキルは自分の問題にある解決策を見出します。「人体実験の許可が下りないのならば、自分自身を実験台に使えばよい」と。

ジキルの思惑など知らないアターソンは、ジキルが気分転換をして元気を取り戻したと安心して帰ってゆきます。ジキルは真夜中ひとり、決意を固め、実験室に入ってゆきます・・・。

そこで歌われるのが、このミュージカルで一番有名なこの楽曲、「時が来た(This is the moment)」です。

 

「The transformation~Alive(変身~生きている)」

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これはブロードウェイの英語版を元に採譜・制作したもの。

先ほどの「時が来た(This is the moment)」を歌い終わったすぐ後。

この作品はジキルかハイドかがほぼ常に舞台上にいる、しかも大曲揃い。実験室の舞台装置のある場面でThis is the momentを歌いきり、その後即、実験室の机の上に何気なく置いてあるコップの水を一口飲み、すぐにこれに入るのです。

 

"善と悪を分離する薬"(試作品)は、英語版では皮下注射、日本語版では飲用ですが、「The transformation(変身)」の曲は同じです。拙い訳で間違いなどももしかしたらあるかもしれませんが、意訳も作って載せておりますので是非ご覧下さい。

 

しかし、皮下注射5センチリットル(50ミリリットル)は多すぎやしませんか・・・それだけで血管破裂するのでは^^;この台詞なら英語版でも飲用の方が良いのでは・・・(笑)

 

何はともあれ、この曲でジキルは遂に薬を投与し、初めてハイドが現れます。

 

「生きている(Alive)」

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こちらはAliveの日本語版です。これも2016年版CDを基に作っておりますが、英語版とは大分違います。楽器編成も違うのでそもそも音色はいろいろと変わるのですが、しかし細かいところあれこれと変えている上大きな構成も違いますね。英語版でも今か昔かはこうして長い構成だったのかもしれませんが・・・。

しかし構成はともかく、見事に日本語に合ったアレンジ!聴き比べて全然違うので改めてびっくりと同時に、脱帽でした。

それにこのThe transformationとAliveには、本当にワイルドホーンの作曲における魔法がぎっっっしり詰まっています。

因みにこの「Alive」の後半(歌詞でいうと「獣は檻を破り~」から最後)は、一幕の一番最後にももう一度出てきます。

 

その後、ジキルは研究のためと称して実験室に何日も引きこもり、婚約者のエマやその父親である理事長、親友アターソンらをとてつもなく心配させやきもきさせ、その楽曲もあるのですが音源もまだ作っていないしここでは割愛。

 

「あんな人が(Someone like you)」

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「生きている」の曲中演技部分で、街に飛び出したハイドは偶然見つけたルーシーに乱暴を働きます。

後日、ルーシーは、ジキルが実験をする数時間前に酒場で彼に貰った名刺を頼りにジキルの邸を訪れます。

ハイドの行動を全く知らないジキルはルーシーの傷を見て驚き、善意からルーシーを即座に室内へ招き入れ、傷の手当てをします。

上流階級と下層階級の落差(そういう意味でも両極端な部分"乖離"の激しさ)が激しいこの時代この社会で一番踏みつけにされる最底辺を生き、そういう社会や人間しか知らなかったルーシーはこのジキルの優しさに触れ、心が大きく動きます。

その帰り道、夢見心地でこの「あんな人が(Someone like you)」を歌いながら自分の家・・・というよりもねぐら(英語版の台詞によると働いている娼婦館の上階らしい)に帰っていきます。

 

ルーシーが去った後、病院の理事会のメンバーであり地区の大きな教会の大司教が、人目を忍んで娼婦と裏通りを歩いていました。お金を渡して次にいつ会えるか・・・と鼻の下を伸ばしています(因みに英語版だと流石もっと凄い。身を売られた少女の売人と笑いながら話をしています)。

娼婦と別れ大司教がひとりになったその瞬間、暗闇からハイドが現れます。

ハイドは、大司教が自分の保身や体裁のために(細かい心情は観客それぞれの読みだと思いますが)理事会でジキルの必死の意見を無下に却下したこと、それでいながら社会の表では聖職者を振りかざし、裏では夜な夜なこうやって娼婦(もしくは黒人の奴隷少女)を買って自分の欲を満たし放題していることを罵ります。

この時に先ほどのAliveのリプライズとして、「獣は檻を破り~」の件が流れ、ハイドは大司教を偽善者と罵り暴行し、激しく打ちのめした上でその体に油を撒き火をつけて殺してしまうのです。

ここで一幕が終わります。

 

二幕に入り、最初に超大曲が始まりこの曲中にてハイドは彼のいう"金持ちの偽善者"たちに大して残酷なやり方での殺人を繰り返します。

一方ジキルは記憶がないながらも、自分の記憶の欠落や世間の偶然ならざる事態を見てハイドの存在と行動におぼろげながら気付き始め、必死でコントロールしようと薬の改良に勤しみます。

 

そんな中、ある日ジキルが実験室に戻るとなぜかエマが実験室の中でひとり彼の実験ノートを読んでいるのを発見し、唐突に怒鳴りつけてしまいます。

エマは日に日に様子が変わって凶暴な面が見え隠れするジキルを非常に心配し、何か重大なことがあるなら打ち明けて欲しいと懇願しますが、ジキルは背を向けてしまいます。

(ついでにこの場面で日本語版、実験ノートを隠して取り乱しながら何故かエマの目を見て慣れないような驚いたような感じになるジキルに、「ヘンリー、私よ・・・?大丈夫?」という咄嗟の台詞があるのですがこれが非常に意味深に思える。)

どうしても自分の目を見てくれないジキルに対して、ここでエマのソロ曲が入ります。エマ唯一最初から最後までのソロ曲・・・かな?これまた美しい楽曲なのでぜひいずれ音源作りたい。

信念の強いエマは、何があってもジキルをどこまでも信じて待っていると告げて去ります。

ジキルは今ほどエマを必要としている時はなく、エマもジキルを何があっても信じ寄り添う決意をしているシーンでありながら、非常に切ないシーンです。

 

この後、ジキルが書いたかハイドが書いたか、「ジキルに何かあった時にエドワード・ハイドなる人物に全財産と研究の続行全てを託す」と書かれた遺言書を握り締めてアターソンがジキルを問いただしに駆け込んでくるとか、ごちゃごちゃあれこれありますが割愛。

 

「罪な遊戯(Dangerous game)」

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歌の中での文字数や語呂感もあるから日本語訳が難しかったんでしょうねぇこの曲のタイトルは・・・・・・

ルーシーの元には相変わらず夜な夜なハイドが訪ねてきます。

ルーシーは内心ではジキルに焦がれながら、理性では高嶺の花(身分が全く違う)であると自分に言い聞かせ、またハイドを恐れていますが、社会で虫けらのように扱われ店主にも毎日のように暴言暴行を受けて暮らしているルーシーは、心のどこかにハイドの危険性に身を投げ出したくなってしまうような側面もあって・・・

一方この辺りではハイドもどんどん心境の変化を見せており、また表面的には必死にジキルを完全に乗っ取ろうとしている時期でもあり、二人のそれらが交錯し合い最高潮に達するのがこの曲。

非常にワイルドホーンらしい、オブリガードや楽器の音色の使い方が非常に素晴らしく美しい楽曲。

 

さて。今のところジキハイの音源制作はこの5曲なので、ひとまずあらすじも終了(笑)

 

ここからもうどんどんと急加速して結末まで突っ走ります。

本当にどこをどう見てもワイルドホーンらしさ炸裂の作品なのですが、本当にとてつもなくエネルギッシュな舞台ですね。

 

DIDの人は少なからず興味があったり逆に怖くて近寄りがたいけど気になっていたりなどすることの多い作品ではないかとも思います。

 

また、2016年版のパンフレットではごく僅かに、DIDを引き合いに出したコメントを載せている役者さんもおられました。

が、それは、「これはあくまで薬による効果によって生み出されたものである」という意味のコメントで、病気のDIDとは違うものだということを強調する意味のコメントでした。

この舞台では結構、医学的なところも絡み合うので要素的にいろいろなものが見えたり、こういう時代に演じられる舞台だからこそそういう面からも含めたあらゆる考察をしたんだろうなと感じる形跡(?)みたいなものもありますが、

でも原作者のスティーヴンソンもある夜の夢を基に一気に書き上げたというくらい医学的なところとは何も関係なく描かれたものです。

この小説が書かれたその時の時代背景を見て下さい。文化・経済・工業・科学・心理学・キリスト教・医学・思想・・・・・・それらの時代背景を。どんな時代であったのかを見て下さい。この作品の意味やメッセージ性がどこにあるのか、わかるでしょう。

ある意味では、メアリー・シェリーの小説「フランケンシュタイン」(これもミュージカル化されていますが)のメッセージ性とも繋がるところがあるような気がしないでもありません。

 

だからまぁ、そこ言及してしまうならばジキル博士とハイド氏を多重人格の代名詞のような扱いにしてしまうのは・・・原作者の立場から見ても医学的立場から見てもどこから見ても、いろいろと語弊がある気はしますね。

 

ミュージカル作品そのものとしては、非常に良くできた舞台作品ではあると思いますよ。音楽が非常に良いし、また2016年版の日本版は本当にあらゆる仕事・要素などなどが素晴らしいくらいに歯車が噛み合って、非常に完成度の高い舞台となっていましたし実際そう言われていたようです。

まぁ音楽や舞台の好みも人それぞれあるとは思いますが。

 

結馬